白髪の原因となる遺伝子は「IRF4」だった!

白髪の原因となる遺伝子は「IRF4」だった!

今月の1日、英国ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ遺伝学研究所のアンドレ・ルイス・リナレス教授率いる研究チームが、白髪化を促す主な原因を作っている遺伝子が「IRF4」であると特定しました。

今後さらに研究が進めば、白髪化を遅らせたり食い止めたりするメソッド法も生まれるかもしれないとして、大きな期待が集まっています。

具体的にどんな期待が持てるの?

これまでの白髪対策と言えば、白髪染めを使って隠すぐらいしかできませんでしたよね。今回の研究結果の素晴らしいポイントは、毛髪の色をつかさどる遺伝子に直接アプローチし、白髪を食い止めたりできるかもしれないというところです。

わかったのは、IRF4がメラニン色素の生成と蓄積などに深く関わりを持っていること。そして、実際に髪の毛の元中のメラニン色素に影響を及ぼし、髪を白くする能力を持っているということです。

うまくいけば白髪染めならぬ、「白髪止め」という化粧品が登場するかもしれませんね。

髪の色や形状にも影響?

ルイス・リナレス教授他、共同研究者36名の研究チームは、主に髪の毛の色や形状、毛髪が薄くなる現象や白髪などに関する遺伝子的要因を調査していました。

IRF4遺伝子の変異は、元々金髪の発生に関わっていることがわかっていたため、遺伝子操作次第では、ブロンド髪の減少につながることもあると発表しています。

一方、髪の形状については、これまでも多方面において科学的研究がなされてきた「一本眉」(眉間の部分で左右の眉毛がつながること)が発生する割合などについてです。今回の研究では、それぞれがどの遺伝子の影響であるのかも判明したようですよ。

遺伝子PAX3

一本眉に影響しているのは、遺伝子PAX3だということがわかりました。これまでは、PAX3が顔立ちを決める遺伝子のひとつで、皮膚や髪、目などの発生に関与しているということまでが明らかになっていました。

遺伝子PRSS53

遺伝子PRSS53は「巻き毛」に影響を及ぼしているそうです。この遺伝子からヒントを得ることで、直毛への変化を促すことも可能かもしれません。直毛とは、主に東アジアやアメリカ先住民などによく見られる髪の毛の形状だそうです。ゆくゆくは、髪質も自由に選ぶことができる時代が来るかもしれませんね。

白髪化が始まるタイミングは人種によって差がある

今回の研究は、「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」と呼ばれる手法を用い、大規模な遺伝子解析調査によって裏付けられました。

ブラジル・コロンビア・メキシコ・ペルーなどの中南米に住む総勢6630人がその協力者です。人種の内訳は、欧州系統50%、アメリカ先住民系統40%、近代アフリカ系統が6%とのこと。

この調査によると、白髪化する平均年齢は祖先の違いによって異なるそうです。白色人種の場合、30代半ば、東アジア系統では30代後半、サハラ以南のアフリカ系統では40代半ばからが白髪になりやすいタイミングとのことですよ。

白髪の原因と毛が抜けてしまう症状の原因は酷似している

すでに、IRF4がメラニン色素の生成と蓄積などに深く関わりを持っていることは説明いたしました。では、具体的にはどんな理由で白髪が増えるのでしょうか。

現在までの研究で考えられている理由は、「遺伝」、「加齢」、「生活環境」、「病気」、「外的ダメージ」などです。特に加齢と生活環境に関する研究は、今回のIRF4の発見によりかなり進んだと言えるでしょう。実際に人種の違いによって白髪になるタイミングや多さも異なることがわかったのですから。

この五つの要素は、毛が抜けてしまう症状と非常によく似ています。このまま順調に研究が進んでいけば、白髪止めだけにとどまらず、今よりももっと効果的な育毛剤が開発されるかもしれませんね。ぜひ期待したいところです。

おわりに

いかがでしたか?今回の研究では、新たにさまざまなことがわかりましたね。

白髪を食い止められるような時代は本当にくるのでしょうか。同時に、髪の色や質などの遺伝子操作が可能になり、自由に決められるようになるとすれば、人類の性選択にも影響を与えるようになるかもしれません。技術の進歩と課題は常に隣り合わせです。

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