坊主にすると毛が太くなるといううわさを聞いたことはありますか？ひげなどもそったあとは濃くなると言ったりしますよね。もし坊主にすることで、毛が太く丈夫になるのなら試してみたいという人もいるかもしれません。

しかし、残念ながらそう都合よくはいかないようです。今回は坊主になったら髪が太くなるといううわさの真相を解説したいと思います。

髪質は毛穴と髪を作り出す組織で決まる

髪質は何で決まるかというと、毛穴の形と遺伝資質である髪を作り出す組織の設計図によって決まります。一般的にくせ毛と呼ばれるうねりのある髪は、毛穴が斜めになっていることで発生しているとされます。

出て来る所がまっすぐではないので、髪も傾いてしまう訳です。また、髪の太さ、色合いは、遺伝的資質と作成するときの材料で決まります。具体的には、髪の外側のキューティクルと、内側のコルテックスが髪質を決定しているのです。

日本人の髪はキューティクルの層が厚く、コルテックスが密集しているとされています。そのため、外国の人と比べると、髪色が濃くてまっすぐで太い髪の人が多いのです。髪は毛根の部分にある髪を作り出す組織が作っているので、この部分の設計図によってその形が決定されています。また、髪を作り出す組織も材料がなければ髪の毛を上手に作ることができなくなります。

坊主にすると髪が濃くなるといううわさの理由

それでは坊主にすると髪が太くなる、濃くなるといううわさはどこから出たのでしょうか？一つには人が坊主になる時期として多いのが中学生高校生時代ということがあるでしょう。

中学高校時代は野球などの部活動で坊主にする人が多いですよね。この年齢である成長期や思春期は、身体の造りが大きく変化する時期です。そのため、頭皮の毛穴の形も変化し、毛根の機能も成長します。何もしなくても髪質が変わる時期に坊主にしたので、再び伸ばし始めたら以前と髪質が変わっていたということになります。うわさの元となったのはこの成長期に坊主にしていた人の体験ではないかと考えられます。

そしてもう一つ、坊主にすると髪が太くなると勘違いする理由があります。本来髪が生えてくるときには、その先端は細くなっているので最初の毛先は細いものです。

しかし坊主の場合は成長途中の髪をその半ばで切っているため、切られた状態のままで太く伸びてきます。そのため髪が急に太くなったように思えるのです。

丸刈りの良いところと悪いところ

丸刈りにしてしまってもっとも便利に感じるのは洗髪でしょう。なにしろ頭も身体と同じように洗うことができて、髪を乾かす必要がありません。とても処理が楽ですね。

頭皮の手入れも楽です。髪があると頭皮に保湿クリームなどを塗布するのもひと苦労ですが、丸刈りなら簡単です。逆に丸刈りで問題となる点は、外界の危険から頭部を守りにくくなることでしょう。

肌にとって最も危険が高いとされる紫外線に対しても無防備になってしまうので、帽子などでガードする必要があります。何かがぶつかってきた場合にも、クッションとなる髪がないので、その衝撃が直接内部に響きます。

総合すると坊主には良いことも悪いことも同じようにあると考えていいでしょう。また、一度坊主にして毛髪を太く元気にさせようと考えているのなら、頭皮の状態を良くする方法として保湿や血の流れをよくするのには便利です。

頭皮の状態が悪くなったりや血行不良で髪の成長が阻害されていた場合には、効果を期待できるかもしれません。そう考えれば、坊主から頭皮の状態が良くなって髪が元気になる可能性はゼロではないでしょう。

髪質は養分不足で変わることも

坊主にしても髪質は変わらないということを説明して来ましたが、成長期をすぎて髪質を変える大きな要因があります。それが養分不足です。髪を生成するために必要な養分は、筋肉や皮膚、骨などを作るために必要な養分でもあります。

これらの共通素材を利用するには身体の中で利用する順番が決まっていて、生きるために必要な組織、内臓や血、筋肉などが優先されます。そのため、必要な養分が足りない場合には髪に回される養分が不足して、髪を作り出す組織としては材料が足りない状態になり、健康的ではない髪を作ることとなります。

そんな養分不足でできた髪が、細くてすぐ切れてしまう、抜け毛が始まる頃によく見るような髪です。また、白髪になる原因も、頭皮までに養分が行き渡らずにメラニンを作る組織が十分に機能しなくなるからとされています。髪質の衰えは髪のSOSと思っていいでしょう。

おわりに

結果、髪は坊主にしても髪質は変わらないのですが、坊主にしたからといって髪が生えてくるということもありません。髪の状態をよくしたい場合には、髪に必要な養分を十分に摂取することと、毛根に養分を補給する毛細血管の血流をよくすることが大切です。

最近髪が細くなってきたと感じている人は、食事バランスが崩れているか、頭皮下の血流がうまく流れていない可能性があります。良くするには一定の運動と偏りのない食事が大切です。

また、外的ダメージなどで、体調が崩れている可能性もあります。丸刈りにチャレンジしてみるのも気分転換にはいいかもしれませんが、根本的な問題を変えない限り状態をよくすることはできません。基本を大切にして髪を健康に育ててあげてください。