パントテニルエチルエーテルとは？

体の調子を整えるビタミンは、頭皮にとっても必要な養分です。ビタミンが足りなくなると細菌への抵抗力が低下し、頭皮上で雑菌が繁殖しやすくなります。パントテニルエチルエーテルは育毛剤や化粧品などによく配合されるビタミンです。毛髪を育てる仕組みや反動について知っておきましょう。

パントテニルエチルエーテルはビタミンB群のひとつ

パントテニルエチルエーテルはビタミンB群の一種で、赤みを抑える効果や肌荒れ防止効果があります。薬学的にみると第3類の医薬部外品の原料にあたり、化粧品や育毛剤には他の成分とともに配合されています。

パントテニルエチルエーテルそのものは無色～淡黄色の液体です。独特の匂いが少しありますが、育毛剤などに配合される分量なら、それほど気になる匂いではありません。

パントテニルエチルエーテルが育毛剤の成分として使われるときは、頭皮や髪の毛への養分補給が主な目的です。さらに保湿力が高い成分なので、頭皮をやわらかくキープしたり、ふけやかゆみを軽減したりする効果が期待できます。

また、パントテニルエチルエーテルには赤みを抑える効果があることから、髪の毛のスタイリング剤にもよく配合されています。頭皮はとてもデリケートでちょっとしたダメージから腫れを起こしやすいのですが、ごく初期の腫れはパントテニルエチルエーテルでケアすることができます。

ただし、腫れが進んだ状態の頭皮には効果がありません。すみやかに皮膚科を受診しましょう。

パントテニルエチルエーテルはパントテン酸の誘導体です。

パントテン酸はビタミンB群のひとつで、老廃物の排出を活性化する力があります。体中の細部や組織の正常な動きを助けるビタミンなので、頭皮の細部まで活性化します。頭皮の細部が元気になればそれだけ新しい髪の毛が作られやすい環境になり、毛髪の成長が促進されます。

パントテン酸は、副腎皮質の分泌を正常化することで血糖値を上昇させ、外的ダメージへの抵抗力を強くする効果もあります。毛髪が薄くなる現象と外的ダメージは密接に関係していますから、パントテニルエチルエーテル配合の育毛剤を使うことで抜け毛の量が減るかもかもしれません。

もうひとつ、パントテニルエチルエーテルの毛髪を成長させる仕組みとして重要なのが保湿力です。

毛髪が薄くなる現象に悩んでいる人の多くは、頭皮が乾燥している状態です。頭皮は皮膚の一部ですが、全身の他の皮膚よりもバリアー機能や保湿機能が低く乾燥しやすいという特徴があります。頭皮が乾燥すればふけやかゆみが増えて、かきむしることで頭皮に腫れが起きることがあります。

パントテニルエチルエーテルの保湿効果があれば頭皮はうるおい、育毛剤を使用し続けることで保湿状態がキープできます。かゆみも起きにくく頭皮状態が良好に維持されるので、毛髪の成長が促進されるのです。

パントテニルエチルエーテルはビタミンB群なので、深刻な反動は起きにくい成分だといえます。

ビタミンB群は水溶性のビタミンで、ビタミンB1やB2などが含まれます。たくさんの種類のビタミンが相互に影響しあいながら体の細部に効いています。

もしビタミンB群を大量に摂取しても、不要な分は汗や尿となって体から排出されます。体の自然な排出機能がありますから、通常の食事をしている限りは過剰摂取を心配する必要はありません。

また、育毛剤に含まれるパントテニルエチルエーテルはとても微量ですから、反動はほとんどないと考えられます。

パントテニルエチルエーテルはパントテン酸の誘導体です。パントテン酸を過剰摂取したために起きた反動は、これまでに報告されていません。

同じビタミンB群であるビタミンB2は、サプリなどで大量に摂取することで、しびれやかゆみがでたという反動が報告されています。またビタミンB6を過剰摂取すると（1日に200～500mgの過剰摂取を連続した場合）、手足のしびれ、痛みなどの内部障害・感覚障害および腎臓結石ができる可能性が指摘されています。

しかしパントテン酸やビタミンB1・ビタミンB12などにおいては、心配するような反動の報告はありません。パントテニルエチルエーテル配合の育毛剤を大量に使用したからといって、深刻なトラブルが起きる可能性はほとんどないのです。

育毛剤には多種多様な成分が含まれていますが、パントテニルエチルエーテルは、比較的気軽に使える成分といって良いでしょう。赤みを抑える効果や保湿成分が見込まれる成分であるため、単体ではそれほど大きな毛髪を成長させる効果を期待できませんが、他の毛髪を成長させる成分をサポートする重要な役割を持っています。

パントテニルエチルエーテルは、毛髪を成長させる効果を支えているのです。