パラベンなどの防腐剤は毛髪の成長には悪い?その理由は?

シャンプー&リンス

パラベンと呼ばれる防腐剤をご存じでしょうか?最近は『パラベンフリー』をウリにした商品も存在しますよね。しかしこのパラベンとは一体何なのでしょうか。毛髪の成長にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回はパラベンについて、基本的な知識をおさえつつ詳しく解説していきます。

パラベンって何?

パラベンはいわゆる『防腐剤』として使用されている薬剤です。パラベンはいわゆる合成防腐剤の代表格です。

パラベンという名称は、パラオキシ安息香酸エステルの総称として使用されています。もう少し詳しく説明すると防腐剤として使用されているメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベンの七種類を総括してパラベンと呼ばれています。

パラベンは何に含まれているの?

パラベンは、育毛剤やシャンプー等ヘア用品だけでなく、化粧品から飲料、食品などジャンルを問わず使用されています。安息香酸等と並んで、幅広い製品に使われている防腐剤と言えるでしょう。

ちなみにパラベンの中でも一般的に使用されているのは7種類のうち主に4種類で、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンとなっています。

防腐剤って必要なの?

パラベンは防腐剤の代表格ですから、ここでは防腐剤が必要か否かをお話ししたいと思います。

防腐剤が入っていないと育毛剤などの薬剤はどうなるのでしょうか?

当たり前ですが、時間がたてば防腐剤の入っていないものは腐りますし、腐らなくても細菌やカビが繁殖して製品を変質させてしまいます。ただ腐るだけなら良いかもしれませんが、カビの中には毒性のある物質を作り出すものもいます。

つまり防腐剤を無くすと、シャンプーをはじめとするケア用品を気軽に使用できなくなります。輸送やパッケージ等にも現在よりお金がかかるようになり、商品のコストも上がるでしょう。購入してからも使用期限は厳しくなり、保存法も限られてきます。
一概に防腐剤は必須であると言い切ることはできませんが、現在のような安価かつ便利で無難な製品群は防腐剤あってのものだということを覚えておく必要があるでしょう。

パラベンの毒性と危険性

パラベンはなぜ危険視されるのか

パラベンを危険だと考える人にとって気になるのが、『旧表示指定成分』に指定されていたことでしょう。

旧表示指定成分とは、昭和55年に厚生労働省によって告知されました。ごくまれにですが使用する人によっては皮膚トラブルやに対する過剰反応を起こす危険性があると判断された成分103種が指定されていました。この中にパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)が含まれていたのです。

なぜパラベンが含まれたのかというと、パラベンは0・3%の可能性で過剰反応症状を引き起こす可能性があるためです。残りの99・7%の人に関しては、5%以下の濃度では皮膚に塗布しても刺激とはならず、反復塗布も問題ないということが確認されています。厚生労働省が定めた使用上限は1%で、具体例としては化粧水が0・15〜0・3%、クリーム類で0・4〜0・5%の配合です。つまり、パラベンは人に優しい薬剤と言えるでしょう。

この旧表示指定成分は、2001年に厚生労働省が全成分の記載を義務づけるまで続きました。つまり、危険なものだけが載っているはずの成分表示に長年パラベンは名を連ねてきたのです。そのため現在でもパラベン=危険という認識が残ってしまっているのです。

パラベンに対する過剰反応と海外事情

日本でパラベンが危険視される原因は2001年まで『旧表示指定成分』であったこと、というのは前項でお話ししました。
0・3%という数字を多いとみるか少ないとみるかは人にもよるでしょう。ただパラベンに関しては、過剰反応を発症しても、死亡などの重篤な症状を引き起こすわけではないようです。パラベンに対する過剰反応は皮膚炎や発疹が主な症状です。

ちなみに海外事情はというと、アメリカは特に問題視していませんが、近年は欧州連合(EU)でパラベン不要論が盛んです。欧州委員会では、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、フェニルパラベン、ベンジルパラベン、ペンチルパラベンが配合禁止リストに掲載されています。

パラベン=悪ではない

「海外で規制されているのならパラベンは悪いものなんじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。しかし『何に含まれているの?』という項目をもう一度ご覧ください。現在、日本で主に使用されている4種のパラベンはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンです。実は、どれも禁止リストには含まれていないのです。パラベンと言っても、あくまでパラオキシ安息香酸エステルの総称。パラベンのうちの数種類が禁止リストに追加されたからと言って「パラベンは体に悪い!」と決めつけてしまうのは、早計というものです。

またパラベンを危険と判断した旧表示指定成分が決められたのは昭和55年です。現在は当時よりずいぶんと技術も発達し、パラベンの含有量は随分と少なくなっています。

パラベン=悪ではありません。もちろん
の危険性を忘れてはいけませんが、パラベンを躍起になって排除する必要はないということはご理解いただけるのではないでしょうか。

パラベンと頭皮の上手な付き合い方

必ずしもパラベンフリー=無難というわけではない

育毛剤やシャンプー等の多くにもパラベンは含まれています。最近ではパラベンフリーの製品も目に付くようになってきました。パラベンに対する過剰反応を起こす方には朗報でしょう。しかし、パラベンに対する過剰反応を起こす方以外の人にとって、パラベンフリーはそこまで重要なことなのでしょうか。

市販の育毛剤等のヘアケア用品に防腐剤は必須といって差し支えないでしょう。むしろ防腐剤を使用しないことによるデメリットの方が大きいからです。ですからパラベンフリーの商品に関しても、防腐剤が全く入っていないというのは考えづらいです。パラベン以外の防腐剤にも問題点は存在します。

安易にパラベンフリーだから良いものだ!と思って飛びつくのは逆に危険です。

パラベンフリーのメリット・デメリット

パラベンフリーの一番のメリットは、やはりパラベンに対する過剰反応を起こす方が気にせず使用できることでしょう。またパラレンに対する過剰反応を起こすことが心配という方や、どうしても合成防腐剤が気になるという方にとってもうれしい存在かと思います。

ただ、もちろんデメリットもあります。パラベン等の合成防腐剤ではなく天然防腐剤が使用されていた場合や無添加の場合、人体には優しいですが、殺菌効果は合成防腐剤に劣ります。また単価も高くなりがちです。

パラベンと頭皮の上手な付き合い方

パラベンはさまざまなものに含まれていますし、頭皮にだけ特に悪さをするというようなこともありません。頭皮が腫れを起こしてしまうといったパラベンに対する過剰反応を起こす症状が出ない限り、無理やり育毛剤等からパラベンを排除する必要はありません。

パラベンを必要以上に恐れず、パラベンが入っていても自身が気にせずに 使える、便利に使える商品であれば愛用するべきです。無理やり排除しよう、天然のものだけを使おうとして外的ダメージをためてしまうのが一番頭皮にはよくありません。

おわりに

頭皮にとってパラベンをそこまで危険視する必要はありません。パラベンが含まれているのかいないのかではなく、自身の体質や頭皮に合うかどうかを、ケアグッズ選びの基準にするのがベストです。

検討リスト: 0 件
開く
全クリア
TOP