頭皮にアルコールって大丈夫?育毛剤におけるエタノールの役割

頭皮にアルコールって大丈夫?育毛剤におけるエタノールの役割

育毛剤にはいろいろな種類の薬品が配合されています。どれもが決まった役割を持っていて髪の成長をうながすので、無駄なものはひとつもありません。そこで育毛剤の原材料表をみると「エタノール」というものに気が付きます。

エタノールといえば、消毒に使われるアルコール成分です。髪の成長を促すこととアルコールに何の関連があるのでしょうか?そして、頭皮にアルコールをつけて影響はないのでしょうか。

そもそもエタノールとは

エタノールは、消毒用アルコールと同じもの

エタノールとはアルコールの一種です。アルコールにはメチルアルコール(メタノール)とエチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)などがあり、それらをまとめて「アルコール」と呼んでいます。

エタノールとイソプロパノールは主に消毒用に使われ、一般的に消毒用のアルコールといえば、エタノールを意味します。髪の成長・育毛剤に含まれるのは、ほとんどの場合、エタノールです。

純度の高い無水エタノールは、成分を混ぜるために使用

エタノールにはいくつか種類があり、無水エタノールやエタノール、消毒用エタノールなどに分かれます。これは含有するエタノール濃度の違いによって呼び分けられており、消毒用エタノールは76・9~81・4vol%です。エタノール濃度80%程度の時にもっとも消毒効果が優れているとされます。肌につけると清涼感がある濃度です。

育毛剤の中には無水エタノールを含むものがありますが、これはエタノール濃度99・9%以上でとても純度の高いものです。ただ、育毛剤中の無水エタノールの使用量はとても少ないので、濃度が高いからと言って頭皮環境に影響を及ぼすことはありません。

育毛剤での使用目的は、成分どうしを混ぜ合わせるためです。エタノールには水にも油にも溶けるという性質があり、育毛剤に含まれる多様な成分をうまくつなぎ合わせることができるのです。

男性用・女性用育毛剤ともに、エタノールを使用

では、一般的な育毛剤にはどれくらいのエタノールが含まれているのでしょうか。

商品によって差がありますが、だいたい男性用育毛剤の成分中50~70%がエタノールと言われます。女性用育毛剤はスッとする刺激が好まれないということもあり、少ないものでは20~30%程度が含まれています。

男性用・女性用のいずれにせよ、育毛剤にはエタノールが入っているものがほとんどです。

育毛剤にエタノール成分が含まれる理由とは

殺菌力で、防腐剤の役割

では、いったいなぜエタノールが育毛剤に含まれているのでしょう。大きな理由は四つあります。

まず、先に言ったようにエタノールは水にも油にも溶けるため、さまざまな種類の成分や原材料を混ぜ合わせ、つなぎ合わせるために配合されています。育毛剤には何十種類もの成分や薬剤が含まれているため、相性が悪いもの同士だけでは分離してしまうためです。

次に、殺菌力を利用して育毛剤そのものの品質を保持するためでもあります。育毛剤は化粧品と同じく、いったん商品を開封すれば空気に触れて、そこから雑菌が繁殖する可能性があります。エタノールの殺菌力は、防腐剤としてもメリットがあるのです。

頭皮の過剰な脂を除去

さらに、殺菌力は頭皮環境にもかかわります。エタノール=アルコール=刺激成分ということで、育毛剤には含まれていないほうが無難ではないか、と思う人もいますが、アルコールは決して悪いものではありません。

特に頭皮に過剰な皮脂が分泌されているために毛が抜けやすくなっていたり、うまく髪が成長する条件が整わなかったりするような毛が抜ける症状の人には効果があります。エタノールで頭皮を消毒することで余分な皮脂を除去し、順調にヘアサイクルが進むように促すのです。

実は、頭皮にある皮脂腺はTゾーン(額から鼻筋にかけての場所)の約3倍の密度があります。頭皮は汗をかきやすく皮脂分泌も多い所なので、適切な濃度のエタノールを育毛剤に配合することで殺菌と過剰皮脂の除去をするのです。

エタノール成分はほんとうに頭皮に悪影響を及ぼす?

皮膚が敏感な人やアルコールに対し過剰反応を起こす人には不向き

そこで気になるのが、エタノール成分がどれほど頭皮への悪影響があるかです。

エタノールに殺菌力があるということは刺激性の物質ということですから、皮膚が敏感な人やアルコールに過剰反応を起こすことがある人には、エタノール成分を含まない育毛剤がおすすめです。

またエタノール配合の育毛剤を使ったら肌がぴりぴりした経験があるという人も、なるべく使用を控えましょう。エタノールが蒸発するときに頭皮の水分と一緒に蒸発し、乾燥を招いているかもしれません。

エタノールにはさまざまな役割がありますが、髪の成長に直接かかわる効果は見られません。上に挙げたさまざまな理由から配合されているのであって、エタノール成分無しの育毛剤も存在します。

女性用ではエタノールを含まない商品が人気

女性用育毛剤は頭皮の乾燥を気にする人が多いためか、エタノール配合量が少なめです。なぜなら、女性には低刺激の育毛剤が好まれるということがあり、それが大きな理由になっているからです。中にはまったくアルコール(エタノール)を含まない育毛剤もあります。

数は少ないですが、皮膚科ドクターが開発した商品や化粧品メーカーが遺伝子解析チームと組んで開発した商品などです。ネットで「アルコール無添加育毛剤」と検索するとヒットします。

ただしエタノールを配合しないため、スプレー式でやや頭皮に塗りにくかったり、育毛剤が2種類に分かれていて2回に分けて付けたりするなどの弱点はあります。

それでも、もしエタノールの影響が気になるのであれば、アルコール無添加の育毛剤を選ぶといいでしょう。

おわりに

ほとんどの育毛剤にはエタノールが配合されていますが、過剰な心配は不要でしょう。

日本において販売されている育毛剤は、基本的に厚生労働省の認可を受けて製造されています。医薬品も医薬部外品も、厚生労働省の厳しいチェックを受けた上で製造されていますから、エタノールでそれほど深刻な反動が起きるケースは少ないのです。

ただし育毛剤の使用中に気になる症状が出たら、直ちに使用を中止して皮膚科を受診しましょう。

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